みんなの相続相談所 回答集 / 居住用宅地に関する特例

夫の居住用宅地等を、妻である私が相続しました。家族の介護のため、夫の死亡時に、夫と同居はしていませんでした。同居をしていなければ、小規模宅地等の特例を受けることはできないのでしょうか?

配偶者であれば、同居していなくても小規模宅地等の特例を受けられます。

“【配偶者が対象宅地を取得した場合】
小規模宅地等の特例において、被相続人の配偶者が、相続により被相続人の居住用宅地等を取得した場合、その配偶者が被相続人の死亡時に被相続人と同居していなかったとしても、特例が適用され、330平米を限度に評価額を80%減額することができます。”


父は、亡くなる数年前に介護が必要だったため、老人ホームの終身利用権を取得し、老人ホームに入所していました。父が所有していた住居の宅地等は、小規模宅地等の特例を受けられますか?

一定の要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を受けることができます。

“【被相続人が老人ホームに入所していた場合】
平成25年12月31日までは、老人ホームの所有権が、被相続人又はその親族によって取得されていたり、終身利用権が取得されている場合は適用を受けられませんでした。しかし、平成26年1月1日より制度が緩和されています。
次の要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例の適用が可能です。
①被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
②その家屋が貸付等の用途に供されていないこと。”


同居していた父がなくなりました。私がこの土地を相続することになりましたが、父と生計は別でした。小規模宅地等の特例をうけることはできますか?

同居していたのであれば、生計は別でも小規模宅地等の特例を受けることができます。

“【小規模宅地等の特例の要件】
小規模宅地等の特例において、被相続人と同居していた親族が相続する場合、生計を一にしているかどうかは要件に入りません。
被相続人の居住の用に供されていた宅地等を相続又は遺贈により取得する場合、特例の適用要件となる取得者は下記の通りです。
①被相続人の配偶者(要件なし)
②同居親族(要件あり)
③持家のない別居親族(要件あり)”


父は、亡くなる数年前から、病気治療のため入院しており、居住していたところへは、一時的に帰ることが数回あった程度です。父の居住用宅地は、小規模宅地等の特例を受けることはできますか?

“はい。小規模宅地等の特例を受けることができます。

“【被相続人が入院していた場合】
被相続人が、相続開始前に病気治療のために入院したが、退院することなく亡くなった場合、被相続人がそれまで居住していた建物で起居しないのは、一時的なものと認められます。その建物の敷地は、空家となっていた期間の長短を問わず、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当し、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。”


父の土地に構造上区分のある2世帯住宅を建てて居住しています。建物を区分登記している場合、父に相続が発生した場合、この土地を私が相続する場合、小規模宅地等の特例を受けることができますか?

被相続人(お父様)の居住していた部分に対応する宅地等にのみ小規模宅地等の特例をうけることができます。

“【2世帯住宅の小規模宅地等の特例】
構造上区分のある2世帯住宅の場合でも、区分登記することなく、被相続人および相続人が各独立部分に居住していた場合には、相続人が取得した宅地のうち、被相続人と相続人が居住していた部分全体に対応する部分を特例の対象とすることができます。
ただし、区分所有登記を行っていた場合、特例を受けられるのは、実際に被相続人が住んでいた区分に相当する部分のみです。
【区分登記された二世帯住宅の敷地に対する特例の適用】
構造上区分のある2世帯住宅でその建物が区分登記され、被相続人および相続人が各独立部分に居住している場合、相続人が取得した宅地のうち、被相続人が居住していた部分に対応する部分を小規模宅地等の特例の対象とすることができます。”


同居していた祖父がなくなり、遺言により、その宅地等を私が相続することとなりました。小規模宅地等の特例を受けることはできますか?

小規模宅地等の特例を受けることが出来ます。

“【相続人でないものが、相続した土地】
被相続人の孫(代襲相続人ではない)が遺贈により宅地等を取得したケースでは、その孫が被相続人の死亡時に被相続人と同居していたのであれば、小規模宅地等の特例による評価減の適用が受けられます。本特例は、相続人でない親族も適用可能です。親族とは6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。”


相続人ではない母親に家を遺贈した場合、小規模宅地等の特例を受けることは出来ますか?

相続人でなくても、被相続人の死亡時に被相続人と同居していたのであれば、小規模宅地等の特例を受けることが出来ます。

“【相続人でないものが、相続した土地】
被相続人の親(相続人ではない場合)が遺贈により宅地等を取得したケースでは、その親が被相続人の死亡時に被相続人と同居していたのであれば、小規模宅地等の特例による評価減の適用が受けられます。本特例は、相続人でない親族も適用可能です。親族とは6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。”


父の敷地に家を建てて暮らしています。父が亡くなり、この敷地を相続することになりました。私は毎日父のところへ通い、介護をしておりましたが、これは小規模宅地等の特例の同居に該当しますか?

介護を行っているだけでは、居住していることにならず、小規模宅地等の特例を受けることは出来ません。

“【小規模宅地等の特例の「特定居住用宅地等」】
「特定居住用宅地等」に該当するためには、被相続人の相続開始直前に被相続人の居住の用に供していた家屋に被相続人の親族が相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その家屋に居住していることが特例を受けるための要件となります。
同一敷地内に隣接する家屋に居住する相続人が被相続人の介護を行っているだけでは、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。”


両親と二世帯住宅に住んでいます。父がなくなり、宅地を私が相続することになりました。同居が要件だと聞いたのですが、私は現在単身赴任中で、両親と妻子で住んでいました。私はここに住んでいないのですが、小規模宅地等の特例を受けることはできますか?

単身赴任は、転勤という特殊事情が解消したときは、家族と起居を共にすることになると認められる家屋といえるため、小規模宅地等の特例を受けることができます。

相続人の配偶者及び子の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況からみて、当該家屋が相続人の生活の拠点として利用されている家屋といえる場合、すなわち、転勤という特殊事情が解消したときは、家族と起居を共にすることになると認められる家屋といえる場合については、相続開始の直前から申告書の提出期限まで相続人の居住の用に供していた家屋に該当するものとみるのが相当なので、相続人の取得した宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当します。ただし、相続人の配偶者及び子が、相続税の申告期限前に当該宅地の上に存する家屋に居住しないこととなった場合には、当該宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当しません。


2世帯住宅において、小規模宅地等の特例を受けるためには、玄関が別に作られたりと、構造上区分の有るものでないといけませんか?

区分登記されていなければ、構造上区分があっても小規模宅地等の特例をうけることができます。

“【小規模宅地等の特例(2世帯住宅)】
構造上区分のある2世帯住宅でその建物が区分登記されていない場合、被相続人および相続人が各独立部分に居住していても、相続人が取得した宅地のうち、被相続人と相続人が居住していた部分両方に対応する部分を小規模宅地等の特例の対象とすることができます。”


離婚前は夫の持家に住んでいましたが、今は賃貸マンションで暮らしています。先日父が亡くなり、実家の建物と敷地を相続することとなりました。父は生前一人暮らしでした。小規模宅地等の特例を受けることはできますか?

質問のケースでは、小規模宅地等の特例を受けられる可能性があります。

相続人は相続直前に離婚し賃貸マンションで暮らしていたが、相続開始後に同居親族がいなかった被相続人の家屋と敷地を相続し、自らの居住の用としている場合、相続開始前3年以内に日本国内に自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋に居住したことがない親族として取り扱われ、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。


小規模宅地等の特例を受けるには、同居していることが要件だと聞きました。私達家族は亡くなった父と同居していましたが、私自身は単身赴任で別の家に住んでいます。この場合どうなりますか?

単身赴任中でも、家族の状況より、生活の拠点は、当該家屋であると考えられるので、小規模宅地等の特例を受けることができます。

“【小規模宅地等の特例(単身赴任中)】
配偶者及び子の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況からみて、当該家屋が相続人の生活の拠点として利用されている家屋といえる場合、すなわち、転勤という特殊事情が解消したときは、家族と同居すると認められる家屋といえる場合については、相続開始の直前から申告書の提出期限まで相続人の居住の用に供していた家屋に該当するものと考えます。よって相続人の取得した宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当します。”