《生命保険の活用》
みなし相続財産となる形態で保険を活用すると、遺産分割協議の対象資産となりません。
みなし相続財産となる形態の例:契約者、保険料負担者、被保険者が夫、保険金受取人が妻の契約形態で、夫が死亡した場合の死亡保険金は、みなし相続財産となります。
【みなし相続財産】
本来の財産以外に、実質的には相続や遺贈により取得したことと同様の経済効果が認められる場合、その受けた利益等を相続や遺贈により取得したとみなして課税財産とするものを「みなし相続財産」といいます。
※民法上は相続財産として「遺産分割協議」の対象になりません。
【生命保険契約の保険金】
保険金は、受取人固有の財産なので、預金のように分割協議が調うまで金融機関で凍結されることはありません。
必要書類をそろえて保険会社へ請求すれば、保険金が支払われます。ただし、必要書類は種類が多いため、保険会社で不備になり、支払までに時間を要する場合があります。請求する際に、必要書類について保険会社に事前に確認しておくと確実です。
【給付金への課税】
「疾病により重度障害の状態になったことに基因して支払われる保険金」になるので、所得税法に掲げる「身体の傷害に基因して支払われる」保険金に該当し、非課税所得になります。
【未給付部分への課税】
生前給付金の支払を受けた後に、その受取人である被保険者が死亡の場合、未給付の生存給付金は本来の相続財産として相続税の課税対象となります。
この場合、未給付の給付金は既に生命保険金でないので、相続税の非課税財産の規定の適用外となります。
【定期金に関する権利】
契約(定期金給付契約)により、ある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいいます。
例えば、保険金や年金を受け取る権利ということです。
【相続放棄と生命保険】
死亡保険金は相続財産ではなく、保険金受取人の固有の財産となり、受取人である相続人が相続を放棄しても死亡保険金を受け取ることができます。
ただし、この死亡保険金は、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
【生前給付金の未給付部分への課税】
生前給付金の支払を受けた後に、その受取人である被保険者が死亡の場合、未給付の生存給付金は本来の相続財産として相続税の課税対象となります。
この場合、未給付の給付金は既に生命保険金でないので、相続税の非課税財産の規定の適用外となります。
【リビング・ニーズ特約の概要】
①被保険者の余命が6か月以内と診断された場合に、主契約の死亡保険金の一部又は全部(上限3,000万円)を生前給付金として支払うものです。
②生前給付金を支払ったときは、これと同額の死亡保険金が減額されたものとされます(死亡保険金の全部を生前給付金として支払った場合には、主契約は消滅します)。
③生前給付金の受取人は被保険者とし、配偶者等について指定代理請求を認めています。
④特約の保険料は不要です(主契約の保険料に吸収されています)。
詳しい評価方法は、解説をご確認ください。
【給付事由が発生している年金受給権の評価】
給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次のうちいずれか多い金額により評価します。
①解約返戻金相当額
②定期金に代えて一時金の給付を受けられる場合、当該一時金相当額
③予定利率等を基に算出した金額
【給付事由が発生していない年金受給権の評価】
給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として解約返戻金相当額により評価します。
【変額保険のしくみ】
変額保険は、契約時の基本保険金額が最低保証されていますので、運用実績が基本保険金額を下回っている時に保険事故が発生したとしても、基本保険金額が支払われます。運用実績が基本保険金額を上回っていれば、基本保険金額と共に変額保険金額を受け取ることができます。
【保険金の課税関係】
質問のケースでは、保険契約者であるあなた(子)がお父様から、お父様の負担した保険料の額に対応する生命保険契約に関する権利を相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税が課税されます。
【保険金の課税関係】
質問のケースの場合、お父様は保険料を負担していないため、課税されません。
死亡保険金の課税関係は、保険料の負担者、保険金受取人、被保険者が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税対象になります。
【生命保険の名義変更と課税】
相続税や贈与税が課税されるのは、保険料負担者が死亡した場合や保険金、解約金等を取得した場合に限られ、単に契約者名義を変更しただけでは贈与税等は課税されません。
課税される事例として、保険料を実際は負担していない契約者が保険契約を解除し、保険契約に係る解約返戻金を取得した場合は、取得者は保険料負担者から贈与によりこの返戻金を取得したとみなされ、贈与税が課税されることになります。