【養子縁組と相続順位】
養子縁組をすることによって相続順位が変わり、相続税が高くなる可能性があります。
例えば、兄弟の誰かに相続させたい場合に、その人と養子縁組することによって、相続人の数が養子縁組した子の1人となります。仮に兄弟が4人いたとしたら、養子縁組前の法定相続人は4人だったので基礎控除の額が大きく減少し、相続税が高くなります。
【15歳未満の者との養子縁組】
養子となる者が15歳未満であるときは、原則として法定代理人の承諾と家庭裁判所の許可の両方が必要です。
【養親が死亡した場合】
養子が未成年の場合、養親が死亡しても、実親に親権は回復しません。
したがって、遺産分割協議を行うとき、子と実親が、利益相反にならないときであっても、実親が親権者として、遺産分割協議を行うことはできず、未成年後見人が遺産分割協議を行うこととなります。
【養子縁組の届出の際の印鑑】
養子縁組の届出の際に使用する印鑑は、実印でも認印でもかまいません。
ただし、養子縁組という重要事項に使用するので、後日のトラブル等の備えとして、できるだけ実印を使用した方がよいといえます。
【配偶者のあるものが養子縁組をする場合】
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者と共にしなければなりません(民法795条)。養子が未成年者でない場合には、夫婦の一方だけを養親として縁組しても差し支えないといえます。
【養子の未成年者控除】
未成年者控除は、全ての養子に適用されます。
※未成年控除・・・成年に達するまでの養育費の負担を考慮するため、一定の要件を満たす未成年者については、満20歳に達するまでの年数1年につき10万円を、相続税から控除出来る制度。
※全ての養子及び実子につき、適用を受けられます。
民法には転縁組に関する規定はありませんが、禁止する規定もないので、することが出来ると解されています。
【転養子となる例】
①養子が結婚し、配偶者の両親との間で養子縁組をする。
②養父母が離婚し、養母の後夫の養子になる。
【夫が養子となった時、妻は?子は?】
妻がいる夫が縁組し養子となると、夫婦同一姓の原則が優先され妻も夫とともに養親の氏を称することになり新戸籍を作りますが、縁組前の戸籍にこの夫婦の子が同籍していた場合、子は養子縁組していないので、元の姓のまま、もとの戸籍にとどまることになります。
子供は、養子縁組をしていないので養子は養親の氏を名乗る、という原則は適用されません。両親と同じ姓を名乗るには、
①子供が15歳未満である場合は、子供の氏を変更する旨の届出をして子供の氏を両親と同じ氏に変えられる。
②子供が15歳以上である場合は、子供本人が、自分の氏を両親と同じ氏とする旨の届出をすることで、両親と同じ氏に変えられる。
但し、届けが認められるのは、両親が婚姻中の場合であり、 既に両親が離婚している場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
【年長者との養子縁組】
父母、祖父母などの尊属又は年長者は、養子にすることはできません。質問の場合、「兄に全財産を相続させる」旨の遺言を作成することで、お兄様に全財産を相続させることができます。
【未成年者の養子】
民法795条において「配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者と共にしなければならない」とされています。
【離縁後の氏】
原則として、養子は縁組前の氏に復活します。復氏しない、又は継続使用出来るケースは以下の通りです。
※養親の一方と離縁した場合・・・養親が夫婦で、その一方のみと離縁した場合は、復氏しない。
※養親の氏を名乗るケース・・・縁組が7年以上継続した後に離縁した場合、離縁後3ヶ月以内に届出をして養親の氏を継続使用出来る。
【意思能力のない孫を養子にする場合】
養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができます(民法797条1項:代諾縁組)。よって、15歳未満の者は、その意思能力の有無に関わらず、法定代理人の承諾があれば、養子となることができます。
一方、15歳以上の者は、意思能力があれば自己の意思決定で、養子になることができます。これは、身分行為については、本人の意思を尊重すべきであり、代理にはなじまない性質のものだからです。しかし、15歳以上でも意思能力がない者の場合には、代諾縁組のような規定が条文上存在しませんので、養子になることはできないことになります。
【養親が全員死亡したとき】
養親が全員死亡すると、親権者は不在になります。その為、未成年である養子は、遺産分割等において「未成年後見人」の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。
①家庭裁判所の許可を得る
②子の法定代理人の承諾が必要となる。
です。
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならなりません(民法798条本文)。さらに15歳未満の場合には、法定代理人(通常は親)の承諾が必要とされています。
《未成年者を養子とする場合》
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(民法798条本文)。とありますが、例外として、養親となる者自身の直系卑属や、配偶者の直系卑属が養子になる場合が挙げられています(民法798条但書)。
【養子縁組後の氏】
妻は婚姻で夫の姓を名乗っているので、夫婦同一姓の原則が優先されるので、養子先の姓を継ぎません。
被相続人の養子となった当該被相続人の直系卑属(孫等)(代襲相続人である者を除く)は、平成15年4月1日以後開始した相続から相続税額の2割加算の対象者とされることとなりました。
【孫との養子縁組】
孫との養子縁組をして財産を相続させると、相続税の課税を一回飛ばすことができるため、相続税が軽減できます。
つまり、父から子へ、そして子から孫へ財産が相続される場合、その都度相続税の課税を受けることになるのに対して、父から孫へ直接財産が相続されれば、子から孫への相続税を軽減することができるということです。
【孫との養子縁組】
孫との養子縁組をして財産を相続させると、相続税の課税を一回飛ばすことができるため、相続税が軽減できます。
つまり、父から子へ、そして子から孫へ財産が相続される場合、その都度相続税の課税を受けることになるのに対して、父から孫へ直接財産が相続されれば、子から孫への相続税を軽減することができるということです。
【特別養子縁組】
特別養子縁組は、実父母との親族関係がなくなり、完全に養親の嫡出子として扱われるため、実父母の同意や家庭裁判所の審判が必要となります。
【転縁組】
転縁組(第二縁組)が普通養子縁組の場合、その成立後も原縁組(第一縁組)が存続し、二つの縁組が併存することになります。
「尊属又は年長者は、これを養子とすることができない」(民793条)とされています。「尊属」とは、例えば親や祖父母、叔父・叔母など、自己の世代よりも上の世代に属する人のことをいいます。この場合、義兄は「同世代」にあたるため、年下であれば養子とすることができます。
【配偶者の直系卑属が養子になる場合】
配偶者の直系卑属が養子になる場合は未成年者であっても、家庭裁判所の許可は必要ありません。ただし15歳未満の場合には、法定代理人(通常は親)の承諾が必要とされます。
《未成年者を養子とする場合》
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(民法798条本文)。とあるが、例外として、養親となる者自身の直系卑属や、配偶者の直系卑属が養子になる場合が挙げられる(民法798条但書)。
【未成年者控除制度】
未成年者控除制度は、成年に達するまでの養育費の負担を考慮するため、一定の要件を満たす未成年者については、満20歳に達するまでの年数1年につき10万円を、相続税から控除出来る制度で、全ての養子及び実子につき、適用を受けられます。
【障害者控除】
障害者控除は、障害者である為、通常の場合より余分に生活費を必要とする点を考慮し、一定金額を控除出来る制度です。額は、一般障害者と特別障害者とで異なります。全ての養子及び実子につき、適用を受けられます。
【法定相続人に含める数の制限】
①被相続人に実子がいる場合、被相続人の普通養子のうち1人のみを法定相続人の数に含めます。
②被相続人に実子がいない場合、被相続人の普通養子の2人までを法定相続人の数に含めます。
③①及び②の場合でも、税の負担を不当に減少させる目的の養子と認められる場合は、法定相続人の数に含めません。
※特別養子は、実子として取扱われるため、すべて法定相続人の数に含まれます。
【普通養子と特別養子の法定相続分】
民法上、普通養子と特別養子で法定相続分に差はありません。
《普通養子と特別養子》
【普通養子】
養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のことをいいます。
【特別養子】
養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいいます。