みんなの相続相談所 回答集 / みなし相続財産

夫が死亡し、死亡から1年後に支給が確定した退職手当金を、妻である私が受け取りました。相続財産となりますか?

はい。「みなし相続財産」となります。

“《死亡退職金》
死亡退職金は、支給が確定した時期によって取扱いが変わります。
①被相続人の死亡後3年以内に支給が確定→みなし相続財産として相続税を課税
②被相続人の死亡後3年を超えて支給が確定→受取人の一時所得として所得税・住民税を課税
【みなし相続財産】
本来は相続財産ではありませんが、被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産を税法上、「みなし」相続財産として扱うものをいいます。
例)死亡保険金、死亡退職金など”


父の死亡退職金として、生活の用に供する家具と什器を現物支給されました。これらのものに対しても、相続税は課税されるのでしょうか?

はい。相続税の課税対象になります。

“【金銭に見積もれる死亡退職金の現物支給】
被相続人の死亡退職金等として支給を受けた現物が、金銭に見積もれる経済的価値のあるものならば、たとえ所得税の非課税規定に該当するもの(生活の用に供する家具、什器、通勤用の自動車等)であっても、相続税の課税対象になります。”


“祖母の死亡保険金を受取りましたが、受取人である私は祖母の普通養子です。
普通養子の場合も、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されますか?”

はい。死亡保険金の非課税金額の規定は適用されます。ただし、法定相続人に含められる普通養子の人数に制限があります。

“【死亡保険金の非課税限度額】
死亡保険金を受取った相続人が養子であっても、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されます。
ただし、死亡保険金の非課税金額を計算する際の法定相続人の数に含められる普通養子の人数に制限があります。
①被相続人に実の子供がいる場合1人まで。
②被相続人に実の子供がいない場合2人まで。
【実子として取扱われる場合】
次のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われますので、すべて法定相続人の数に含まれます。
①被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
②被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
③被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
④被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属”


“契約者(保険料負担者):夫
被保険者:妻
このような終身保険に加入しており、契約者である夫が亡くなりました。
この終身保険に係る生命保険契約に関する権利に対して、相続税は課税されますか?”

はい。本来の相続財産として、相続税の課税対象となります。

“【生命保険の権利】
契約者(保険料負担者):夫
被保険者:妻
このような契約形態の生命保険契約において、契約者である夫が亡くなり、生命保険の権利を相続した場合、本来の相続財産として、相続税が課税されます。
ただし、契約者・被保険者が妻で、保険料負担者のみが夫である場合は、契約者・被保険者である妻のみなし相続財産となります。”


夫が死亡し、死亡退職金を受け取りました。この死亡退職金は、夫の死亡後3年以内に支給が確定していましたが、実際の支給を受けたのは、死亡後3年を経過してからでした。何税の課税対象となるのでしょうか?

相続税の課税対象です。

“【死亡退職金】
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金を遺族が受け取る場合、相続財産として相続税の対象となります。
※3年を超えて支給が確定した場合、受取人の一時所得として、所得税・住民税の課税対象となります。
実際に支給される時期は、死後3年以内であるかどうかは問われません。”


“死亡退職金の非課税限度額の計算についてです。
法定相続人が、配偶者、実子1人、普通養子3人である場合、500万円×法定相続人計5名=2,500万円が、相続税の非課税限度額ですか?”

“いいえ。死亡退職金の非課税限度額の計算において、法定相続人の数に含めることのできる養子に制限があります。
質問のケースでは、普通養子を1人まで含められますので、500万円×法定相続人計3名で、1,500万円が非課税となります。”

“【死亡退職金の非課税限度額】
死亡退職金の非課税限度額の計算において、法定相続人の数に含めることのできる養子に制限があります。
①被相続人に実子がいる場合、被相続人の普通養子養子のうち1人を法定相続人の数に含めることができます。
②被相続人に実子がいない場合、被相続人の普通養子の2人を法定相続人に含めることができます。
③①及び②の場合であっても、税の負担を不当に減少させる目的の養子を認められる場合には、法定相続人の数に含めません。”


“契約者(保険料負担者):会社
被保険者:従業員(父)
先日亡くなった父が、上記のような生命保険に加入していました。
この生命保険の死亡保険金を、従業員の退職手当金として、長男が受け取った場合、みなし相続財産となりますか?”

はい。相続財産とみなされる「退職手当金等」として取扱われます。

“【会社が契約者の保険金を遺族が受取った場合】
会社(法人)が契約者、従業員が被保険者、従業員の家族が保険金受取人である場合には、会社が負担した保険料はその従業員が負担したものとして取り扱うこととなっています。したがって、被保険者である従業員(被相続人)が保険料負担者ということになり、相続財産とみなされる生命保険金等として取り扱われることとなります。
ただし、その死亡保険金を退職手当金等として支給することとしている場合には、相続財産とみなされる生命保険金等ではなく、相続財産とみなされる退職手当金等として取り扱うとされています。”


“契約者(保険料負担者):夫
被保険者:妻
このような生命保険で、被保険者である妻が亡くなり、死亡保険金を夫が取得した場合、相続税の課税対象となるのですか?”

いいえ。一時所得として所得税・住民税の課税対象となります。

“【死亡保険金の課税】
保険契約者(保険料負担者)が死亡保険金を取得しているため、一時所得として、所得税・住民税の課税対象となります。”


相続財産とみなされる死亡退職金は、相続税の申告期限までに支払われたものですか?

相続財産とみなされる死亡退職金は被相続人の死亡後、3年以内に支給が確定したものです。

“【死亡退職金の課税】
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、実際の支給時期に関係なく、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。また、実際にその被相続人の遺族に対して支給されたものに限りません。”


先日亡くなった父の生命保険について、契約者・被保険者が父で、保険料も父自身が払っていました。この生命保険の保険金について、子である私が受取りました。しかし、私は相続放棄をしています。受取った死亡保険金は、保険金の非課税金額の規定の適用を受けることはできますか?

相続放棄をした場合、相続人とみなされないため、非課税金額の規定の適用を受けることはできません。

“【相続放棄と死亡保険金】
契約者と被保険者が同一の場合、死亡保険金は相続財産ではなく、保険金受取人の固有の財産とされます。
相続放棄をしても死亡保険金を受取ることはできますが、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
また、相続放棄した場合、相続人とみなされないため、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)も適用されません。”


父が亡くなりました。死亡退職金について、退職金の支給額を確定せず、ただ単に退職金として社宅を交付するとだけ決議されました。取得した土地や建物の評価はどのようになりますか?

財産評価基本通達により評価した相続税評価額によることになります。

“【死亡退職金の支給額を確定せず社宅等が現物支給される場合】
被相続人の死亡により、退職金の支給額を確定せず、退職金として社宅等を現物支給する場合、取得した土地や建物は、財産評価基本通達により評価した相続税評価額によることになります。
この場合、相続人等が取得した請求権は、その社宅の引渡しを受ける権利のみです。したがって、その社宅の引渡しを受ける権利に代えて、財産評価基本通達により評価した価額の金銭を請求すること等はできません。”


死亡退職金として社宅の現物支給を受けることはできますか?

“現物支給を受けることができます。
死亡退職金支給額が確定しているか否かで取扱いが異なります。”

“【死亡退職金の支給額を確定せず社宅等を現物支給する場合】
被相続人の死亡により、退職金の支給額を確定せず、ただ単に退職金として社宅を交付するとだけ決議された場合、取得した土地及び建物の価額は、財産評価基本通達により評価した相続税評価額によることになります。
この場合、相続人等の取得した請求権は、その社宅の引渡しを受ける権利のみで他に選択肢はなく、土地及び建物の価額は、相続税の課税においては、財産評価基本通達により評価した価額によることになります。
【死亡退職金の支払方法として社宅等を取得した場合】
既に退職金の支給金額が確定していて、その支払方法として、土地及び建物を取得した場合、その土地及び建物の評価額は、その確定した退職金の支給金額によることになります。
土地及び建物をもって死亡退職金に充てるとしても、それは確定した退職金の支払方法に過ぎません。したがって、受給者は、その支払方法の変更を求めることが可能です。もし、支給された社宅の価額が退職金として確定した支給額に満たない時は、その差額について支払の請求をすることができます。”


相続開始時に受け取りが済んでいなかった給与について、父が死亡してから1ヵ月後に支給されました。これも相続税の対象となりますか?

はい。本来の相続財産として、相続税の対象となります。

“【未支給の給与】
相続開始時に支給時期の到来していない給与は、被相続人の給与所得とはならず、本来の相続財産として相続税の対象となります。
(死亡時までに支給されていれば、給与所得です。)
なお、被相続人の死亡後3年経過後に確定し、支給された給与は、遺族の一時所得として所得税の対象となります。”


遺族が受取る死亡退職金は、いつ支給されても相続税の対象になりますか?

いいえ。支給が確定した時期によって課税される税金が異なります。

“《死亡退職金の課税》
①死亡後3年以内に支給が確定した場合・・・相続税の課税対象
②死亡後3年経過後に支給が確定した場合・・・遺族の一時所得として所得税の対象
【死亡退職金の非課税枠】
「500万円×法定相続人の数」で算出した金額まで非課税となります。”