みんなの相続相談所 回答集 / 暦年贈与

贈与税率には、「一般税率」と「特例税率」があると聞きました。何が違うのですか?

“贈与をした人と贈与を受けた人との関係によって、適用される税率が異なります。
平成27年1月1日以降の暦年贈与の場合において、20歳以上の人が、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与を受けた場合、「特例税率」が適用されます。それ以外の贈与については、「一般税率」税率が適用されます。”

“【暦年贈与で適用される税率】
平成27年1月1日以降の暦年贈与の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により取得した財産で、受贈した者が、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の場合、この取得した財産を「特例贈与財産」といい、上記の「20歳以上の者への直系尊属からの贈与」税率⇒「特例税率」を適用します。
※特例税率は一般税率に比べて低い税率が適用されます。
※「特例贈与財産」以外の特例税率の適用がない財産を「一般贈与財産」といい、特例税率と区分して「一般税率」といいます。”


祖母から贈与を受けました。贈与税の申告をしなければならないのでしょうか?

“贈与を受けた金額によります。
110万円以下の贈与には、贈与税の課税はないため、申告は不要です。”

“【基礎控除以下の贈与】
暦年贈与の基礎控除額は110万円です。したがって、110万円以下の贈与には、贈与税の課税はないため、申告も不要です。”


“1年間に祖母と父から贈与を受けました。
2人から贈与を受けた場合、贈与税は、110万円×2人=220万円まで非課税ですか?”

贈与税の非課税枠は、「贈与をした人ごと」ではなく、「贈与を受けた人ごと」に認められていますので、110万円までは非課税です。

“【暦年贈与の非課税枠】
1月1日~12月31日の1年間に受けた贈与の合計金額が110万以内である場合、贈与税は課税されません。
110万円は、贈与をした人1人あたりの金額ではなく、贈与を受けた人の贈与額の合計です。”


110万円以下の贈与であっても、日付や金額等の贈与の事実を明確にしておいた方がよいのでしょうか?

はい。贈与の事実を明確にすることで、贈与の証明を求められた際に備えることができます。

“【110万円以下の贈与】
110万円以下の贈与は非課税ですが、贈与の事実を明確にしておくことで、贈与の証明を求められた際に備えることができます。
①現金手渡しの直接の贈与は避け、贈与者の預金から受贈者の預金への振込むなど、贈与の日付と金額を明らかにしておきましょう。
②贈与税の申告を行い(納税額は0円)、贈与の事実を補強してもよいでしょう。
③贈与契約書を作成し、贈与の意思を共同相続人に書面で明らかにしておきましょう。”


贈与税の申告は、いつ行うものなのでしょうか?

贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までが、贈与税の申告期限です。

“【贈与税の申告期限】
贈与税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに受贈者の住所地の所轄税務署長に申告書を提出し、納付します。”


贈与税はどうやって計算するのですか?

“贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)に、個人が個人から贈与を受けた財産の価額(非課税財産を除く)の合計額から110万円の基礎控除額を差し引き、その残額に税率を乗じて計算します。

“【贈与税の計算】
1.その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与により受け取った財産の価額を合計します。
2.その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
3.その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
※基礎控除は、受贈者に対して設定されているので、贈与者の数に関わらず基礎控除額は110万円です。”


相続開始前3年以内に受けた贈与財産については、相続税財産に加算するということですが、3年以内に贈与税の配偶者控除を受けた部分についても加算しなければいけませんか?

贈与税の配偶者控除を受けた部分に浮いては加算の必要はありません。

“【特例の概要】
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。”


孫への相続開始前3年以内の生前贈与も相続財産への加算の対象になりますか?

孫が相続人であれば、贈与財産も相続開始前3年以内の相続財産への加算の対象となります。

相続もしくは遺贈を受けていない者に対する生前贈与は、相続開始前3年以内の相続財産への加算の対象から外れる。孫が代襲相続人である場合、孫への生前贈与は、相続開始前3年以内の相続財産への加算の対象となります。


相続時精算課税制度を利用した後、暦年課税に変更することはできますか?

暦年課税に変更することはできません。

“【暦年課税への変更不可】
相続時精算課税制度を選択すると、贈与の行われた時期に関係なく、贈与財産が相続財産に加算されます。
暦年贈与の場合、被相続人の相続開始前3年を超える贈与については、生前贈与加算対象外となります。
相続時精算課税制度を一度選択すると生涯継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。”


贈与税の配偶者控除とは、どのような制度ですか?

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産・居住用不動産の購入資金の贈与があったときには、基礎控除の110万円の他に2,000万円まで控除が受けられる制度です。

“【配偶者への居住用財産又は居住用不動産取得の金銭贈与】
基礎控除110万円の他に、最高2,000万円迄の控除が受けられる制度です。
適用条件は以下の通りです。
①婚姻期間が20年を過ぎた後に行われた配偶者間の贈与であること。
②贈与された財産が居住用不動産又は居住用不動産取得の為の金銭であること。
③贈与された年の翌年3月15日迄に、贈与された居住用不動産又は贈与された金銭で取得した居住用不動産に居住し、かつ、その後も引き続き居住する見込みであること。
④同じ配偶者から過去にこの特例の適用を受けていないこと。
⑤一定の書類を添付して贈与税の申告をすること。”


将来発生する相続税への対策として、暦年贈与を利用して、効率よく父から子へ財産を移すにはどうすればいいですか?

相続税の最低税率は10%なので、贈与税の負担税率が10%以下の範囲で暦年贈与を行うと効率が良いでしょう。

“受贈した者が、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の場合
【平成27年1月1日以降の贈与の場合】
①一般贈与財産の場合
470万円以下の贈与は、470万円の場合で、(470万円-110万円)×20%-25万円=47万円の贈与税が課税。この金額までは贈与した金額に対して10%の贈与税の負担率。
②特例贈与財産
520万円以下の贈与は、520万円の場合で、(520万円-110万円)×20%-30万円=52万円の贈与税が課税。この金額までは贈与した金額に対して10%の贈与税の負担率。
【特例贈与財産】
平成27年1月1日以降の暦年贈与の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により取得した財産で、受贈した者が、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の場合、この取得した財産を「特例贈与財産」といい、上記の「20歳以上の者への直系尊属からの贈与」税率⇒「特例税率」を適用する。
※特例税率は一般税率に比べて低い税率が適用される。
※「特例贈与財産」以外の特例税率の適用がない財産を「一般贈与財産」といい、特例税率と区分して「一般税率」という。”


相続開始3年以内に贈与を受けた場合、その贈与は必ず相続財産に加算されるのでしょうか?

贈与を受けた人が、相続又は遺贈で財産を取得していれば、3年以内に受けた贈与も相続財産に加算されます。

“【相続開始前3年以内の贈与財産の相続財産への加算制度に該当しないもの】
①贈与税の配偶者控除の適用を受けた金額に相当する部分、又は相続のあった年に贈与を受けた財産(贈与税の配偶者控除の対象となる財産に限る)で贈与税の課税価格に算入する旨を相続税の申告書に記載したものについては、相続税の課税価格に加算する必要はない。
②被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた場合でも、相続人が相続又は遺贈により財産を取得していなければ、その贈与財産を相続財産に加算されることはない。”


贈与税も相続税と同様に、要件を満たせば、物納や延納は可能ですか?

贈与税では、一定の要件を満たせば延納は可能です。しかし、物納は認められていません。

“【贈与税の納付】
贈与税は、申告期限までに一括納付を原則とします。
一定の要件を満たせば、延納は可能です。しかし、物納は認められていません。”