みんなの相続相談所 回答集 / 相続財産

亡くなった父が勤めていた会社から香典をもらいました。とても高額だったのですが、相続財産になるのでしょうか?

死亡退職金とみなされる可能性があります。死亡退職金は「みなし相続財産」です。

【香典】
香典は、社会通念上、相当範囲内では贈与税も相続税もかかりません。
ただし、その金額が相続人の生活保障にあたるほど高額であって、勤めていた会社からの香典であるような場合には、死亡退職金とみなされる場合があります。死亡退職金は、「みなし相続財産」として、相続税が課税されます。


生死不明で行方不明の家族が所有している財産について、本人でなければ一切処分できないのでしょうか?

いいえ。財産管理人を選任し、財産の処分をすることが可能です。

【不在者財産管理人】
家庭裁判所へ申立てることにより、行方不明者自身や行方不明者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人の選任を行うことができます。
このようにして選任された「不在者財産管理人」は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。


夫の相続開始後、未支給年金を受け取りました。これも相続財産に含まれるのでしょうか?

いいえ。支給を受けた遺族の一時所得とされます。

【未支給年金】
未支給年金は、故人が生前に受けていた年金を、遺族が相続開始後受け取るものです。
本来の相続財産には該当せず、支給を受けた遺族の一時所得とされます。これは、遺族が給付を受けるべき未支給の年金受給請求権の行使であるとされるためです。


交通事故による損害賠償金は、何か税金が課税されますか?

損害賠償金は、非課税です。

【交通事故の損害賠償金】
損害賠償金は遺族の所得になりますが、所得税法上非課税規定があるため、税金はかかりません。
損害賠償金には「慰謝料」や「逸失利益の補償金」などがあります。「逸失利益の補償金」とは、もしその人が生きていれば得ることができる所得の補償金のことです。


相続によって取得した財産を、地方公共団体に寄付した場合でも相続税の納付は必要ですか?

相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したものは、相続税の対象となりません。

【相続財産の寄附】
相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したものは相続税の対象となりません。


亡くなった主人の勤務していた会社から弔慰金が支払われました。このお金に相続税は課税されますか?

弔慰金は一定の金額まで課税されません。

弔慰金等(弔慰金、花輪代、葬祭料等)については、以下の金額を超える場合には、その超える部分の金額について、退職手当金等に該当するものとして取り扱われる。
・被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき…賞与を除く給料の3年分
・被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき…賞与を除く給料の半年分


不在者財産管理人とは、どのような人ですか?

不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができる人をいいます。

【不在者財産管理人】
不在者財産管理人は、家庭裁判所への申立てにより選任され、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。
選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。


亡くなった父が孫の名義で預金をしていました。この預金は孫のものですか?

お父様(被相続人)の財産とみなされます。預金名義人が被相続人の配偶者・子・孫等の家族となっていても、実質的にはその名義人の固有財産ではなく、被相続人の所有に属するとみなされる預金のこと「名義預金」といいます。「名義預金」は遺産に該当し、相続財産として計上しなければなりません。

【名義預金】
被相続人の配偶者・子・孫等の家族が名義人の預金が、実質的にはその名義人の固有財産ではなく、被相続人の所有に属するとみなされた場合、その預金は遺産に該当することになり、一般には「名義預金」と呼んでいます。
名義預金は、実質的には被相続人の所有に属したものなので、相続税の申告に際し、相続財産として計上しなければなりません。


相続・遺贈によって財産を取得する人が、国籍も住所も、日本でない場合、納税義務はあるのでしょうか?

納税義務があります。

【国外財産に関する納税義務の範囲の拡大】
平成25 年度税制改正において、子や孫等に外国籍を取得させることにより、国外財産への課税を免れるような租税回避事例が生じていることから、「国外財産に関する納税義務の範囲の拡大」が講じられることとなり、日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないもの(制限納税義務者)が、日本国内に住所を有する者から相続等により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加えることとしました。
この改正は、平成25年4月1日以後に相続等により取得する国外財産に係る相続税又は贈与税について適用されています。


姉が10年以上前から行方不明で生死もわかりません。弟である私が、姉の不在者財産管理人になることはできますか?

“できます。
ただし、お姉様の財産を処分する場合などには、必ず代理人を立てなければなりません。”

【家族が不在者財産管理人になる場合】
家族が不在者財産管理人になることはできますが、遺産分割協議や財産の処分には必ず代理人を立てなければなりません。
理由は、この不在者財産管理人というのは行方不明の不在者の為の選任なので、財産を不在者の為に不平等がないかを、いわば見張るための役割をする人です。共同相続人では利害関係が発生してしまうため、代理人が必要となります。


夫が死亡し、勤めていた会社から弔慰金を受け取りました。
この弔慰金は、相続税の課税対象ですか?”

一定の額を超える部分については、退職手当金等として相続税の課税対象となります。

【弔慰金】
弔慰金の以下の部分について、非課税となります。
①被相続人の死亡が業務上の死亡の場合→普通給与の3年分
②被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合→普通給与の6ヶ月分
※上記の金額を超える部分は、退職手当金等に該当するものとして相続税の課税対象となります。


責任の限度額及び責任期間の定めのない連帯保証は、相続の対象ですか?

相続の対象ではありません。

責任の限度額及び責任期間の定めのない連帯保証などを包括的信用保証債務といいます。この包括的信用保証債務は、相続の対象となりません。
《保証債務》
【金銭貸借や賃貸借の保証など通常の保証債務】
相続によって承継します。
【包括的信用保証(責任の限度額および責任期間の定めがないもの)】
相続の対象となりません。


相続で取得した財産を、国や地方公共団体等に贈与すると、その贈与した財産は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入しないと聞きました。贈与にあたって、期限はありますか?

相続税の申告期限までです。

“【相続財産の贈与による相続税の負担軽減について】
相続で取得した財産を、相続税の申告期限までに、国又は地方公共団体等の一定の者に贈与した場合、贈与した当該財産の価値は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入しません。
国又は地方公共団体等の一定の者への贈与は寄付金控除の対象になりますが、寄附した財産について、譲渡所得等の非課税の適用を受ける場合の寄付金控除の対象となる金額は、その財産の取得価額(被相続人から引き継いだ取得価額)とされます。
遺産分割協議が調わなければ、相続財産の贈与による相続税の負担軽減も活用できません。


相続税がかからない財産として、どのようなものがありますか?

墓地や墓石、仏壇など日常礼拝をしているものや、宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なものが挙げられます。
詳細は、解説をご確認ください。

【相続税がかからない財産】
相続税がかからない財産のうち主なものは次の通りです。
①墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物。
※ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
②宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの。
③地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利。
④相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち 500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。
⑤相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち 500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。
⑥個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの。
※なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。
⑦相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの。


葬式後に残った香典については、相続人の共有財産として、分配しなければならないのでしょうか?

いいえ。香典については、「喪主のもの」というのが、日本の一般的な慣習です。

【香典の残額】
香典は、喪主の個人財産と考えられます。
贈与税がかからない場合として「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞などのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」というのがあります。贈与税はかからないが、贈与であることは明らかです。
喪主が受取るまでは、香典を出した人が所有者で、喪主が受取った瞬間に贈与が成立し、所有権が移転するものと考えられています。


“父が10年前突然出ていき、居所が分からず生死も不明です。
今のままでは、父の所有している財産の処分ができないのですが、何か方法はありませんか?”

失踪宣告という方法が考えられます。

【失踪宣告】
失踪宣告とは、生死不明者の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。失踪宣告がなされた場合、相続が開始されます。
具体的に、不在者(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者)につき、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)は、家庭裁判所は申立てにより、失踪宣告をすることができるとされています。
不在者の生死不明の状態が長く続くと、残された利害関係人の財産や身分状態が不安定となるため、これを救済するための制度です。


兄が数年前から行方不明です。兄の財産の管理をするにはどうしたらいいでしょうか?

利害関係者は家庭裁判所に申し立てることで不在者財産管理人になることができます。

【不在者財産管理人】
家庭裁判所は、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。