みんなの相続相談所 回答集 / 事業用宅地に関する特例

事業用の宅地が、「特定事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、どのような要件がありますか?

要件は、3つあります。詳細は、解説でご確認ください。

“【被相続人の所有していた宅地等が特定事業用宅地等該当する要件】
①その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること。
②その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継いでいること。
③その申告期限まで引続きその事業を営んでいること。”

<2019年度税制改正 「特定事業用宅地等」の範囲に新たな制限>
「特定事業用宅地等」の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以下である場合を除く)を除外することとなりました。
なお、この改正は2019年4月1日以後の相続等に適用されますが、同日前から事業の用に供されている宅地等には適用しないこととされています。


小規模宅地等の特例における「特定同族会社」とは、どのような法人を指すのですか?

「被相続人及び被相続人の親族等」が、法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している法人をいいます。

“【特定同族会社事業用宅地等の特定同族会社】
小規模宅地等の特例における特定同族会社とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人をいいます。”


「特定同族会社事業用宅地等」を株主でない者が取得しました。株主が取得しなければ、小規模宅地等の特例の適用を受けられないのでしょうか?

その者が申告期限に役員であれば、特例の適用を受けられます。

“【特定同族会社事業用宅地等の適用要件】
①法人役員要件:相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること。
②保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。”


戸建住宅を貸しています。事業的規模では無いのですが、この敷地は小規模宅地等の特例を受けることができますか?

事業規模は問わず、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の対象となります。

“【事業的規模ではない不動産の貸付】
事業規模は問わずこの特例の対象となります。
《貸付事業用宅地等》
相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、一定の要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した部分は、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の対象となり、その減額割合は50%。ここでいう貸付事業とは[不動産貸付業]、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。”


小規模宅地等の特例における、特定事業用宅地の要件を教えて下さい。


①その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること。
②その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ついでいること。
③その申告期限まで引続きその事業を営んでいること。”

“①事業承継要件:その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
②保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
※事業の同一承継か否かは、「日本標準産業分類」の分類項目等を参考にして総合的に判断することが合理的と考えられます。そのため、被相続人が「内科」医院を営んでいて、相続人が「歯科」であった場合、日本標準産業分類では、「一般診療所」と「歯科診療所」は小分類番号を異とし、かつ、医師免許についても、別個の免許制度となっていることから、両者の事業は別個のものであると考えることになります。したがって、診療科目を「内科」から「歯科」へ変更した場合には、被相続人の事業の全部を転業したこととなり、特定事業用宅地等に該当しないこととなるため、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。”

<2019年度税制改正 「特定事業用宅地等」の範囲に新たな制限>
「特定事業用宅地等」の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以下である場合を除く)を除外することとなりました。
なお、この改正は2019年4月1日以後の相続等に適用されますが、同日前から事業の用に供されている宅地等には適用しないこととされています。


被相続人の所有していた宅地等が、小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等(特例対象面積400平米・減額割合80%)に該当する為には、その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業をいつまでに引き継いでいなければいけませんか?

被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継いでいなければいけません。

“被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ついでいることが要件の一つです。
【被相続人の所有していた宅地等が特定事業用宅地等該当する要件】
①その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること。
②その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ついでいること。
③その申告期限まで引続きその事業を営んでいること。”


“同族会社の株主の妻が相続した事業建物の敷地について、特定同族会社に該当し、その建物が、特定同族会社の事業の用に供されている場合。
その建物と敷地を相続した妻が、小規模宅地等の特例の適用を受けるための要件を教えて下さい。”

“①相続税の申告期限においてその法人の役員であること。
②その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。”

“設問のケースでは、当該建物と敷地を相続した株主の妻が、特定同族会社の役員になっているならば、その宅地等を相続した株主の妻が、その他一定の要件を満たす場合には、その建物の敷地について特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けられます。
※株主であることは要件にない。
【特例の適用要件】
①法人役員要件:相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること。
②保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。”


父が亡くなって、父の事業を誰が継ぐかで揉めて、結果として事業を一時休業していました。現在は事業を再開しているのですが、小規模宅地等の特例の「特定事業用宅地等」として適用を受けられますか?

“小規模宅地等の特例の適用には要件がいくつかあります。
適用要件の内容を、解説にてご確認ください。”

“【小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等の適用要件】
A被相続人の事業の用に供されていた宅地等
①事業承継要件:その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
②保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
B被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等
①事業承継要件:相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。
②保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。”

<2019年度税制改正 「特定事業用宅地等」の範囲に新たな制限>
「特定事業用宅地等」の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以下である場合を除く)を除外することとなりました。
なお、この改正は2019年4月1日以後の相続等に適用されますが、同日前から事業の用に供されている宅地等には適用しないこととされています。


父の経営していた「内科」を相続し、「歯科」に変更しました。この場合特定事業用宅地として小規模宅地等の特例を受けることが出来ますか?

被相続人の事業を継続したことにはならないため、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。

“【事業の継続】
酒の小売業を廃業して食品全般の小売業に業態変更した場合には、被相続人の事業を継続していないこととなり、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。事業の同―承継か否かは、「日本標準産業分類」の分類項目等を参考にして総合的に判断することが合理的と考えらます。そのため、被相続人が「内科」医院を営んでいて、相続人が「歯科」であった場合、日本標準産業分類では、「一般診療所」と「歯科診療所」は小分類番号を異とし、かつ、医師免許についても、別個の免許制度となっていることから、両者の事業は別個のものであると考えることになります。したがって、診療科目を「内科」から「歯科」へ変更した場合には、被相続人の事業の全部を転業したこととなり、特定事業用宅地等に該当しないこととなるため、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。”


空き地に青空駐車場を経営しています。この土地は相続の際、貸付事業用宅地として小規模宅地等の特例の適用を受けることができますか?

その青空駐車場の状況により適用になるかならないか異なります。

“【青空駐車場】
青空駐車場が、ロープなどで仕切りをしただけであれば、更地とみなされ、小規模宅地等の特例の適用を受けることができない可能性があります。青空駐車場が相当の対価を得て継続的に行う不動産の貸付けに該当する場合でも、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、その土地等が建物又は構築物の敷地の用に供されていることが要件とされています。そのため、青空駐車場の敷地がアスファルトやコンクリートなどで舗装されていれば貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。”


事業的規模で、管理人を置き、大型の駐車場を経営しています。この敷地を相続するとき、小規模宅地等の特例は、「特定事業用宅地等として」と「貸付事業用宅地等として」のどちらが適用されるのでしょうか?

「貸付事業用宅地等として」小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

“【事業規模の駐車場経営】
小規模宅地等の特例制度では、貸付事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業をいう。)の用に供されている宅地等は、その規模、設備の状況及び経営形態等を問わず、すべて「貸付事業用宅地等」として、50%の減額割合の適用対象としています。そのため、たとえ事業的規模で経営される立体駐車場施設の敷地として使用されている宅地等であっても、特定事業用宅地等として80%の減額割合の適用対象とはなりません。”


特定事業用宅地等の小規模宅地の適用を受けるためには、相続税の申告期限までその宅地等を有していることが要件の一つですが、その敷地の一部分を譲渡した場合、、小規模宅地等の特例は受けることができなくなりますか?

譲渡した部分は特定事業用宅地等に該当しませんが、残りの部分については要件を満たしている限り特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例と受けることができます。

“【事業用宅地の一部を譲渡した場合】
小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等に該当するためには、「申告期限まで引き続き当該宅地等を有していること」という要件があります。 したがって、被相続人が事業を営むために所有していた土地を相続した相続人が相続税の申告期限までに相続により取得した宅地等の一部を譲渡している場合には、譲渡した部分は特定事業用宅地等に該当しないこととなりますが、残りの部分については要件を満たしている限り特定事業用宅地等に該当することとなります。そこで、申告期限まで引き続き保有している部分は、その他一定の要件を満たす場合には、特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることが可能です。”


同族会社に貸し付けられていた建物を相続税の申告期限前に建替える場合、建替え前の建物の賃貸契約を解除し、新たに賃貸契約を締結すると、小規模宅地等の特例は受けられなくなりますか?

賃貸契約の解除が、建替えに依るもので一時的なものであれば、小規模宅地等の特例を受けることができます。

“【特定事業用宅地上の建物の建替え】
建替え前の建物の賃貸契約は解除され、新たに賃貸契約を締結することとなるが、その賃貸契約の解除は建物建替えに伴う一時的なもので、実質には契約更改に当たるものと考えられます。したがって、建替え後の建物が引き続き、当該会社の事業の用に供されると見込まれる場合には、その敷地について、特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用することができます。”


父が経営していた酒屋を相続しましたが、店を改装し、コンビニエンスストアに転業しようと思います。相続税の申告期限まで改装せず酒屋を営んでいないと、小規模宅地等の特例の適用を受けることができませんか?

改装後、引き続き改装前の取扱商品(酒の小売)が継続されていれば、特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

“【事業の一部を転業した場合】
特定事業用宅地等を親族が一定の方法で取得した場合の要件の判定については、申告期限までに、その親族がその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業の一部を他の事業に転業しているときであっても、その親族はその被相続人の事業を営んでいるものとして取り扱うこととされています。
※設問の改装前の取扱商品(酒の小売)を継続していることがポイント。”


被相続人が営んでいた会社の社員寮の敷地も特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができますか?

その社員寮を、被相続人の親族のみが使用している場合は適用を受けられませんが、使用人が社員寮として使用している場合は、その他の一定の要件を満たしていればその敷地も特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

“【社員寮に供されている敷地】
事業主が使用人の寄宿舎等として住居を利用させる行為は、事業の遂行に伴う従業員の福利厚生の一環として行われるのが通常であることから、被相続人等が営む事業に従事する使用人の寄宿舎等(被相続人等の親族のみが使用しているものを除く。)の敷地の用に供されていた宅地等は、その他一定の要件を満たす場合には、被相続人等の特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。”


被相続人が営んでいた会社の社宅があり、そこに従業員である親族が居住しています。この敷地を相続しますが、この敷地は特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例を受けることができますか?

被相続人の親族が居住していた社宅は、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。

“【従業員である親族の社宅に供されている敷地】
被相続人が営む事業の従業員の社宅等の敷地は、被相続人等の親族のみが使用しているものを除き、その他一定の要件を満たす場合には、被相続人の特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。”


土地に地盛りと整地をし、青空駐車場にしたいと考えています。これは相続税対策になりますか?

土地に地盛りと整地をしただけでは「構造物」がない青空駐車場になり、更地をして評価されます。また小規模宅地等の特例も受けられません。

“【青空駐車場】
青空駐車場が相当の対価を得て継続的に行う不動産の貸付けに該当する場合でも、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、その土地等が建物又は構築物の敷地の用に供されていることが要件となっています。駐車場の場合、地盛りや整地をしただけで「構築物」のない青空駐車場であれば、規模がどんなに大きくても特例の対象にはなりません。駐車場が構築物であるアスファルトやコンクリートなどによる舗装道路であることが必要です。”