みんなの相続相談所 回答集 / 贈与の特例

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除とは、具体的にどのような特例なのでしょうか?

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

“【夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除】
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
以下の要件を満たさなければなりません。
①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
②配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
③贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
※配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。”


孫に教育資金を贈与しようと考えています。一定の額までは非課税になると聞いたのですが、いくらまでですか?

“支払われる先によって、非課税限度額が異なります。
・学校教育法に定められている学校、専修学校、各種学校等に支払われる入学金、授業料の場合、1,500万円まで
・学校等以外に支払われる教育への対価は500万円まで
※平成27年1月1日より、教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等が加えられました。”

“【直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合の贈与の特例】
適用上限金額は、受贈者一人あたり1,500万円まで非課税となります。
ただし、適用上限金額1,500万円は、学校教育法に定められている学校、専修学校、各種学校等に支払われる入学金、授業料に支払う場合に限られます。
※平成27年1月1日より、教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加えられました。
学校等以外に支払われる教育に対する対価は、500万円が上限です。
本特例には、適用要件があります。非課税の特例を受けられるかどうか事前にご確認ください。”


誰からの贈与であれば、教育資金の非課税の特例の適用を受けられますか?

“直系尊属から贈与を受ける必要があります。
※直系尊属とは、父母、祖父母等です。
※養子縁組による親族関係がある場合を除き、受贈者の配偶者の直系尊属は含まれません。”

“【直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合の贈与の特例】
<適用要件>
父母、祖父母など直系尊属からの贈与に限られます。

①払出年齢制限:信託銀行等が領収書等によって教育目的であることを確認し払出すことができるのは、受贈者が30歳になるまでです。
※使い残しには、その時点で贈与税が課税されます。
②教育資金非課税申告書:受贈者は、信託される日、預貯金の預入の日、有価証券の購入日までに、信託銀行、金融機関、証券会社等を経由して所轄の税務署に教育資金非課税申告書を提出します。
※提出できるのは1ヵ所のみなので、使える手段も1種類となります。
※『平成28年1月1日』←注意 以降に提出する書類に関する緩和措置
金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払い金額が1万円以下で、かつその年中における合計支払額が24万円に達するまでのものについては、当該領収書に代えて支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出することができるようになります。
※『平成29年6月1日』←注意 以降に提出する領収書等の提出方法拡大
受贈者が金融機関等に提出する領収書等について、これまで書面による提出が必要とされていましたが、書面による提出に代えて、PDFファイル等の電磁的記録により提出することができるようになります。”


特定障害者への贈与税非課税制度とは、どのような制度ですか?

特定障害者の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、6,000万円もしくは3,000万円まで贈与税がかからない制度です。

“【特定障害者への贈与税非課税制度】
特定障害者の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかからない制度です。
この非課税の適用を受けるためには、財産を信託する際に「障害者非課税信託申告書」を、信託会社を通じて所轄税務署長に提出しなければなりません。
※特定障害者とは、特別障害者及び障害者のうち精神に障害のある方をいいます。”


特定障害者とは、どのような方のことですか?

特定障害者とは、特別障害者及び障害者のうち精神に障害のある方をいいます。

“【特定障害者】
特定障害者とは、①特別障害者及び②障害者のうち精神に障害のある方をいう。
①特別障害者
・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方又は児童相談所等の精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた方
・精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級である方として記載されている方
・身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級又は2級である方として記載されている方。
②障害者のうち精神に障害のある方
児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター又は精神保健指定医の判定により中軽度の知的障害者とされた方及び精神障害者保健福祉手帳に障害等級が2級又は3級である方として記載されている方。”


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度について、贈与を受ける人に年齢制限はありますか?

贈与を受けた財産を払い出す際の年齢制限があります。贈与を受けた人が30歳になるまでです。

“【祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の払出年齢制限】
信託銀行等金融機関が領収書等によって教育目的であることを確認し払出すことができるのは、受贈者が30歳になるまでです。使い残しがある場合、その時点で贈与税が課税されます。”


親から結婚資金の贈与を受ける予定です。親からの結婚や子育て資金は、贈与の特例が受けられると聞きました。贈与を受けるにあたって、年齢の制限はありますか?

贈与された資金を払い出す際に年齢の制限があります。受贈者の年齢が50歳になるまでです。

“《直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与の特例》
2015年4月1日~2021年3月31日に、直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与で、子あるいは孫等が、自己の「結婚」・「子育て」のための金銭を取得した場合、一定の要件を満たせば一定額まで贈与税が無税になります。
【適用要件】
①払出年齢制限:信託銀行等が領収書等によって結婚・子育て目的であることを確認し払出すことができるのは、受贈者が50歳になるまでです。
※使い残しには、その時点で贈与税が課税。ただし、受贈者が死亡した場合には残額に贈与税は課税されません。
②結婚・子育て資金非課税申告書:受贈者は、信託される日、預貯金の預入の日、有価証券の購入日までに、信託銀行、金融機関、証券会社等を経由して所轄の税務署に教育資金非課税申告書を提出する必要があります。
※提出できるのは1ヵ所のみなので、使える手段も1種類となる。”

<2019年度税制改正>
適用期限が2年延長(2021年3月31日まで)された他、受贈者の合計所得金額が1,000万円超の場合は適用できないこととする措置が設けられています。


特定障害者扶養信託契約とは、どのような信託契約ですか?

“特定障害者扶養信託契約(特定贈与信託)は、特定障害者の方の生活の安定を図ることを目的に、その親族等(委託者)が金銭や有価証券等の財産を信託銀行等(受託者)に信託するものです。
信託銀行等は、信託された財産を管理・運用し、特定障害者(受益者)の方の生活費や医療費として定期的に金銭を交付します。”

“【特定障害者扶養信託契約(特定贈与信託)】
特定障害者扶養信託契約(特定贈与信託)は、特定障害者の方の生活の安定を図ることを目的に、その親族等(委託者)が金銭や有価証券等の財産を信託銀行等(受託者)に信託するものです。
信託銀行等は、信託された財産を管理・運用し、特定障害者(受益者)の方の生活費や医療費として定期的に金銭を交付します。
この信託を利用すると相続税法の「特定障害者に対する贈与税の非課税制度」により、特別障害者の方については6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税となります。
非課税制度の適用を受けるには、財産を信託する際に「障害者非課税信託申告書」を、信託会社を通じて所轄税務署長に提出しなければなりません。”


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度における「学校等以外に支払われる教育に対する対価」とは、具体的にどのようなものがありますか?

“金銭で教育を受けるために支払われるものとして、社会通念上相当と認められるものをいいます。
具体例は、解説をご確認ください。”

“【学校等以外に支払われる教育に対する対価】
以下のものをいいます。
<役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
① 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
② スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
③ ②の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
<上記以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
④ 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用などに充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
⑤ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費( (注) 平成27年4月以降に支払う一定のものが対象となります。)”


伯父から教育資金の贈与を受けます。教育資金の贈与を受けた際の贈与の特例があると聞いたのですが、伯父からの贈与でも適用できますか?

“いいえ。贈与者は、直系尊属に限られます。
直系尊属とは、父母、祖父母、曽祖父母などです。兄弟姉妹やおじ・おばは含まれません。”

“【直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合の贈与の特例】
適用期限が、2015年12月31日まででしたが、2021年3月31日まで延長されました。
適用上限金額は、受贈者一人あたり1,500万円まで非課税となります。
①学校教育法に定められている学校、専修学校、各種学校等に支払われる入学金、授業料
②学校等以外に支払われる教育に対する対価は500万円が上限。
③(平成27年1月1日より新設)教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加える。

「直系尊属から」とあるように、贈与者は直系尊属(父母、祖父母など)に限られます。”

<2019年度税制改正>
●非課税措置の期限延長
2019年度税制改正にて、適用期限が2年延長(2021年3月31日まで)されました。
●その他、受贈者の合計所得金額が1,000万円超の場合は適用できないこととするなどの措置が設けられています。


直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与の特例について、いくらの贈与まで非課税になるのですか?

“贈与を受けた人1人あたり1,000万円まで非課税となります。
ただし、結婚に際して支出する費用については300万円を上限とします。”

“【直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与の特例】
2015年4月1日~2021年3月31日に、直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与で、子あるいは孫等が、自己の「結婚」・「子育て」のための金銭を取得した場合、一定の要件を満たせば一定額まで贈与税が無税になります。
適用上限金額は、受贈者一人あたり1,000万円までです。ただし、結婚に際して支出する費用については300万円を上限とします。”

<2019年度税制改正>
適用期限が2年延長(2021年3月31日まで)された他、受贈者の合計所得金額が1,000万円超の場合は適用できないこととする措置が設けられています。


直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与の特例の「結婚・子育て資金」とは具体的にどのような資金をいうのですか?

“結婚資金は、挙式費用や転居費用などが含まれます。
子育て資金は、分べん費や不妊治療に要する費用などが含まれます。
詳しくは、解説をご確認ください。”

“【結婚・子育て資金とは】
①結婚に際して支払次のような金銭(300万円限度)をいいます。
・挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用
・家賃、敷金等の新居費用、転居費用
②妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
・不妊治療・妊婦健診に要する費用
・分べん費等・産後ケアに要する費用
・子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)  など”


親から子育て資金の贈与を受ける予定です。親からの結婚や子育て資金は、贈与の特例が受けられると聞きました。複数回に分けて贈与してもらった場合、贈与の特例は受けられますか?

一括で贈与してもらわなければ、贈与の特例を受けることはできません。

“《直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与の特例》
2015年4月1日~2021年3月31日に、直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与で、子あるいは孫等が、自己の「結婚」・「子育て」のための金銭を取得した場合、一定の要件を満たせば一定額まで贈与税が無税になります。
一括で贈与しなければ、特例の適用を受けることができません。”