みんなの相続相談所 回答集 / 小規模宅地等の特例全般

小規模宅地等の特例が受けられるのは、どのような土地ですか?

「特定居住用宅地等」、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のいずれかに該当する宅地です。


【小規模宅地等の特例】
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、被相続人等の自宅や事業用の敷地の評価について、一定の要件のもと減額が認められているものです。
対象となるのは、「特定居住用宅地等」、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のいずれかに該当する宅地です。”


小規模宅地等の特例が適用できる宅地が複数あります。相続人でいったん決めた後に変更することはできますか?

いいえ、特例対象の宅地を変更することは、原則できません。

“【小規模宅地等の特例対象宅地の変更】
小規模宅地等の特例の適用は、相続人等の全員の合意による選択に任されていますが、一度選択した特例対象宅地は、原則として他の宅地等への変更はできません。したがって、誰が相続した宅地等でその特例の適用を受けるか慎重に検討しなければなりません。”


亡くなった父が、生前「相続時精算課税制度」を利用して、父の居住用の土地建物を贈与してくれました。この土地建物は、小規模宅地等の特例の適用を受けられますか?

小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。

“【小規模宅地等の特例が受けられないケース】
小規模宅地等の特例が適用される財産は、個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られています。
したがって、相続時精算課税の適用を受けた財産については、相続人が贈与を受けた土地は相続又は遺贈により取得したものではないため、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用は受けられません。”


“特定居住用宅地と特定事業用宅地が、それぞれ相続財産にあります。
両方の宅地で小規模宅地等の特例を受けられますか?”

はい。特定居住用宅地と特定事業用宅地は併用が可能です。

“【特定居住用宅地と特定事業用宅地の併用】
併用は、これまでも限定的に認められていました。平成27年1月1日の税制改正により、完全併用できるようになりました。つまり、特定居住用宅地の適用面積が330平米まで、特定事業用宅地の適用が400平米まで適用対象となり、最大730平米が小規模宅地等の特例の対象となります。”


小規模宅地等の特例は、贈与で取得した宅地等でも適用を受けられますか?

特例の適用を受けられません。

“【小規模宅地等の特例と贈与】
小規模宅地等の特例の適用が受けられるのは、相続や遺贈によって取得した宅地等に限られます。
したがって、相続開始前に贈与で取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与で取得した宅地等は、小規模宅地等の特例の適用を受けられません。”


平成21年度に創設された、非上場株式等に係る相続税や贈与税の納税猶予制度について、小規模宅地等の特例と併用できますか?

両方の特例の適用を受けることができます。

“【非上場株式等の相続税の納税猶予と重複できる特例】
平成21年度税制改正において創設された、非上場株式等に係る相続税や贈与税の納税猶予制度は、小規模宅地等の特例と完全重複適用が可能です。
両者の特例の適用を受ける場合、小規模宅地等の特例の選択を誰が相続した宅地等から適用を選択するかで、相続税の納税猶予税額が大きく異なるケースも生じますので、慎重な遺産分割と特例選択が求められます。”


先日父が亡くなりましたが、1年前に、父と私が居住している土地の贈与を受けました。この土地は小規模宅地の特例を受けることができますか?

小規模宅地の特例を受けることができるのは個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られているため、この場合は特例はうけられません。なお、相続開始前3年以内の贈与であるので、相続税の課税価格に加算されます。

“【小規模宅地の特例】
小規模宅地等の特例が適用される財産は、個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られています。したがって、1年以内かどうかに関係なく、相続人が相続開始前に被相続人が住む居住用の土地建物の贈与を受けていた場合、小規模宅地等の特例が適用されません。また、相続時精算課税の適用を受けた財産についても、相続人が贈与を受けた土地は相続又は遺贈により取得したものではないので、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用はありません。”


父が亡くなる2年前に住居の敷地を贈与してもらいました。この土地は、小規模宅地等の特例の適用を受けられますか?

小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。

“【相続開始前3年以内に贈与された住居の敷地】
小規模宅地等の特例が適用される財産は、個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られます。したがって、相続人が贈与を受けた土地は相続又は遺贈により取得したものではないので、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。
その贈与を受けた財産の価額は、相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税法の規定により相続税の課税価格には加算されます。”


売買契約後に買主が死亡した場合、買主の相続人はその土地は小規模宅地等の特例を受けることができますか?

小規模宅地等の特例は受けることができません。

“【売買契約締結後の買主の死亡】
土地の売買契約中に売主に相続が発生した場合について、被相続人は、所有する土地について買主(個人)との間で売買契約締結後に死亡し、被相続人の相続人がその契約を履行した場合、その相続財産は土地ではなく「残代金請求権」として評価されるため、小規模宅地等の特例の適用外となります。”


農地は小規模宅地等の特例を受けることができますか?

農地は小規模宅地等の特例の適用対象とはなりません。

“【農地と小規模宅地等の特例】
小規模宅地等の特例の適用対象となる土地等は、建物又は構築物の敷地の用に供されている土地等に限られます。そのため、農地は小規模宅地等の特例の適用対象とはなりませんが、農機具等を保管する農業用倉庫は、一般的には建物等に該当することから、その他一定の要件を満たす場合には、その敷地は特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。”


郊外に単価の低い広い土地(駐車場)を所有しています。小規模宅地等の特例を有効活用したいのですが、何か良い方法は有りますか?

郊外の単価の低い事業用資産を譲渡し、都心の単価の高い事業用土地等に買い換える方法があります。

“郊外の広い敷地で単価の低い事業用資産(農地・駐車場等)を譲渡し、都心の単価の高い宅地に買い換えることで、相続税法に規定する小規模宅地等の特例をより一層有効に活用することが出きます。
買換えのために売る資産(譲渡資産)と買う資産(買換資産)は、共に事業用のものに限られます。
【事業用資産の買換特例】 一定の条件に当てはまる事業用の土地・建物を買換えた場合には、譲渡税の課税の繰り延べを受けることができます。老朽化したアパート、貸宅地、その他有効活用が難しい農地などは、この特例を利用して土地・建物を買換えることで高い収益も期待できます。 特定の事業用資産の買換え特例は、事業の用に供している特定の資産を譲渡し、所定の期間内に特定の資産を取得して、その取得の日から1年以内に当該取得資産を事業の用に供する場合に適用されます。”