みんなの相続相談所 回答集 / 宅地の相続税評価

同じ土地であれば、その土地が自用地である場合と貸宅地の場合ではどちらのほうが相続税評価が低いですか?

自用地としての価額から借地権の評価額を控除して計算するため、貸宅地のほうが評価が低くなります。

“【貸宅地の評価】
自用地価額-(自用地価額×借地権割合)
数式を移項すると、自用地価額×(1-借地権割合)でも求められる。”


息子は私から土地を借り、家を建てて住んでいます。地代はもらっていません。相続の際にはこの土地は貸宅地として評価されますか?

自用地としての価額となります。

“【使用賃借】
地代が固定資産税相当額以下であるときは、使用貸借とみなされます。
使用貸借の場合は、自用地としての価額により評価されます。”


賃貸建物の贈与を受けます。建物の敷地についてはどの様な形態にしておくとよいですか?

敷地については、使用貸借もしくは、地代を支払う場合は、敷地の固定資産税相当額以下として、借地権の認定課税を受けないようにするとよいでしょう。

“【借地権の認定課税】
子供が親に権利金を払わずに通常の地代だけを支払うことにすると、親から子供に借地権の権利金相当額の贈与があったものとみなされ、贈与税がかかります。”


定期借地権の相続税評価額はどうなりますか?

原則として、その宅地の自用地としての価額から、定期借地権等の価額を控除した金額によって評価されます。

“【定期借地権の相続税評価】
定期借地権等の目的となっている宅地は、原則として、その宅地の自用地としての価額から、定期借地権等の価額を控除した金額によって評価します。ただし、これにより評価した金額が次の算式で求めた金額を上回る場合には、次の算式で求めた金額を定期借地権等の目的となっている宅地の評価額とします。
(算式) 自用地としての価額-自用地としての価額×定期借地権等の残存期間に応じた割合
定期借地権等の残存期間に応じた割合
①残存期間が5年以下のもの5%
②残存期間が5年を超え10年以下のもの10%
③残存期間が10年を超え15年以下のもの15%
④残存期間が15年を超えるもの20%”


地積規模の大きな宅地の相続税評価はどの様に計算されるのですか?

地積規模の大きな宅地は、次の算式で評価します。
路線価×奥行価格・不正形地補正等×規模格差補正率×地積

“【地積規模の大きな宅地】
地積規模の大きな宅地とは、かつて広大地と呼ばれていました。税制改正により、「規模格差補正率」が導入され、土地の形状も考慮した評価ができることとなりました。
「規模格差補正率」は、次の算式で求めることができます。
(A×B+C)÷地積規模の大きな宅地の地積(A)×0.8
BとCの数値は、以下参照。
<三大都市圏に所在する宅地>

地積平米500以上1,000未満:0.95
地積平米1,000以上3,000未満:0.90
地積平米3,000以上5,000未満:0.85
地積平米5,000以上:0.80

地積平米500以上1,000未満:25
地積平米1,000以上3,000未満:75
地積平米3,000以上5,000未満:225
地積平米5,000以上:475
<三大都市圏以外の地域に所在する宅地>

地積平米1,000以上3,000未満:0.90
地積平米3,000以上5,000未満:0.85
地積平米5,000未満:0.80

地積平米1,000以上3,000未満:100
地積平米3,000以上5,000未満:250
地積平米5,000未満:500


一般定期借地権は、存続期間満了時に、建物を買い取ってもらうことはできますか?

一般定期借地権は存続期間満了時に建物の買取を請求することはできません。

“1.一般定期借地権
・存続期間は50年以上。
・契約の更新がない。
・存続期間中における建物築造による期間延長がない。
・借地権者が借地権の存続期間満了時に、建物買取を請求できない。
・公正証書その他の書面(実務上は公正証書とすべき)による契約。
・期間満了により終了する。
2.建物譲渡特約付借地権
・存続期間は30年以上。
・借地権設定後30年以上を経過後に土地所有者が相当の対価で建物を買い取ることを予め約束する。
・土地所有者が建物の譲渡を受けた時点で借地権は消滅する。
・借地権者は、建物譲渡代金を受け取り、土地を明け渡すが、建物賃借人として引き続き建物を賃借して居住することが認められる。
・書面化は不要(実務上は契約書を作成しておくべき)である。
・30年以上経過した一定の日を期限とする期限付き売買契約又は売買予約契約等とする。
・買取りを確実にするため、建物に所有権移転請求権の仮登記等による権利保全をする。”


建物譲渡特約付借地権とはどういう借地権ですか?

建物譲渡特約付借地権は、存続期間は30年以上で借地権設定後30年以上を経過後に土地所有者が相当の対価で建物を買い取ることを予め約束し、土地所有者が建物の譲渡を受けた時点で借地権は消滅する借地権です。

“【建物譲渡特約付借地権】
・存続期間は30年以上。
・借地権設定後30年以上を経過後に土地所有者が相当の対価で建物を買い取ることを予め約束する。
・土地所有者が建物の譲渡を受けた時点で借地権は消滅する。
・借地権者は、建物譲渡代金を受け取り、土地を明け渡すが、建物賃借人として引き続き建物を賃借して居住することが認められる。
・書面化は不要(実務上は契約書を作成しておくべき)である。
・30年以上経過した一定の日を期限とする期限付き売買契約又は売買予約契約等とする。
・買取りを確実にするため、建物に所有権移転請求権の仮登記等による権利保全をする。”


事業用借地権とはどういう借地権ですか?

事業用借地権は、10年~30年の期間を考慮した、事業専用の建物所有を目的とした定期借地権で、存続期間は10年以上50年未満で、契約は公正証書によるとされています。

“【事業用借地権】
・事業専用の建物所有を目的とした定期借地権。
・存続期間は10年以上50年未満。
・契約は公正証書による。
・公正証書によらない場合または、10年未満や50年超の契約は法律上、普通借地権としての効力しか認められない(期間の定めのない契約となり、期間は30年となる)。”


区分地上権に準ずる地役権とは何ですか?

区分地上権に準ずる地役権は、特別高圧架空電線の架設等を目的として地下又は空間について上下の範囲を定めて設定されたもので、建物の設置を制限するものを言います。

“【区分地上権に準ずる地役権】
区分地上権に準ずる地役権は、特別高圧架空電線の架設等を目的として地下又は空間について上下の範囲を定めて設定されたもので、建造物の設置を制限するものをいいます。
(算式)自用地としての価額-自用地としての価額×区分地上権に準ずる地役権の割合
(注)区分地上権に準ずる地役権の割合とすることができる割合
①家屋の建築が全くできない場合:50%又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか高い割合
②家屋の構造、用途等に制限を受ける場合:30%”