みんなの相続相談所 回答集 / 相続人

相続人の中に、日本国籍を喪失している者がいます。相続権はあるのでしょうか?

“お亡くなりになった方(被相続人)が日本国籍であれば、日本の法律に従って相続が行われます。
日本の法律では、相続人の国籍は一切関係ありません。よって、日本国籍を喪失している者も相続権があります。”

“【国籍】
被相続人が日本国籍であれば、日本の法律に従って相続が行われます。
日本の法律に従った場合、相続人の国籍は一切関係なく、外国籍の相続人には、日本国籍の相続人と同じ相続人としての権利や義務が発生します。”


父母、祖父母などの直系尊属が相続人になる場合も、代襲相続の制度はあるのですか?

いいえ。相続人となった直系尊属(父母、祖父母など)に、代襲相続の制度はありません。

“【代襲相続】
代襲相続とは、本来、相続人となるべき相続者が、相続開始前に死亡していたり、相続欠格・相続排除により相続権を失った者に代わって、その子供達が相続する制度のことです。
【代襲相続人の範囲】
代襲相続できる者は被相続人の子や孫などの直系卑属(兄弟姉妹の場合は傍系卑属)に限られています。”


他に相続人となる親族がいない場合、おじ・おばは相続人になりますか?

いいえ。おじ・おばは、他に相続人となる方がいなかったとしても、遺言がなければ相続人になりません。

“【相続人の順位】
配偶者は常に相続人になります。
次に相続人となるのは、以下の順です。
①子
②直系尊属(親、祖父母など)
③兄弟姉妹
よって、おじ・おばは、遺言がないと相続になれません。”


胎児も法定相続人に含まれると聞きましたが、万が一、流産や死産であった場合には、どうなりますか?

もし流産や死産であった場合には、もともと相続はしないものとして取扱われます。

“【胎児の相続権】
民法上、胎児についてはすでに生まれたものとして相続権を認めています。しかし、流産や死産であったときには、もともと相続はしないものとして扱われます。”


父が亡くなり、長男である兄が相続を放棄しました。兄には子がいます。兄の子は兄を代襲相続し、相続人となりますか?

兄の子は相続人にはなりません。

“【放棄と代襲相続】
被相続人の子が、相続開始時に既に死亡していた場合や欠格または廃除により相続権を失った場合には代襲相続が認められるが、相続放棄の場合ははじめから相続人でなかったものとされるため、代襲相続は認められない。”


兄が亡くなった時、私が相続人になることはありますか?

被相続人の兄弟姉妹が相続人になることもあります。

“【被相続人の兄弟姉妹の相続】
被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に配偶者、子(その代襲相続人を含む)も直系尊属もいない場合と配偶者のみの場合には、被相続人の相続人となリます。”


相続欠格とは何ですか?

相続欠格とは、相続資格がある者が被相続人や他の相続人の生命や遺言行為に対して、故意の侵害をした場合に、相続権を失わせる制度のことです。

“【相続欠格とは】
相続資格がある者が被相続人や他の相続人の生命や遺言行為に対して、故意の侵害をした場合に、相続権を失わせる制度です。
【相続人の欠格事由】
①故意に被相続人を死亡させたり、死に至らせようとした者。
②詐欺脅迫に関連して作成された遺言書の「取消し」「変更」を妨げたり強要する者。
③相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・隠匿・破棄した者。
ただし、破棄・隠匿行為が、相続に関して不当な利益を目的としなければ、その相続人は相続欠格には当たらない、という最高裁の判決があります。”


相続欠格者が遺贈を受けることはできますか?

遺贈を受けることはできません。

“【相続欠格の効果】
相続の欠格事由に該当する場合、直ちに欠格の効果は発生し、その被相続人との関係で相続資格を失うことになります。欠格者は同時に遺贈を受けること(受遺者となること)もできなくなります。
欠格の効果が発生するためには、他の相続人や受遺者などからの主張、あるいは裁判所での手続は不要です。法律上当然にその効果を生じるため、戸籍にも記載されません。”


相続人の廃除とは何ですか?

相続人の廃除とは、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等がある場合、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の調停や審判手続により、その者の相続権を剥奪する制度をいいます。

“【相続廃除】
相続廃除とは、相続人となるべき者に、欠格事由はないものの、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等がある場合、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の調停や審判手続により、その者の相続権を剥奪する制度です。
相続権の剥奪という点では、相続欠格と同じ効果だが、被相続人の意思に基づくところが相続欠格と異なります。
【相続人の廃除事由】
①被相続人に対する虐待もしくは重大な侮辱を与えた場合。
②推定相続人に著しい非行があった場合、この場合は、被相続人が生前に家庭裁判所に請求するか、遺言で廃除の意思を表示、どちらも可能。”


相続廃除された者の子は、代襲相続人となりますか?

はい。代襲相続人となります。

“【相続廃除があった場合の法定相続人の人数について】
廃除された者は、法定相続人の人数に含まれませんが、廃除された者の子が代襲相続人となる場合は、人数に含めます。つまり、相続人が死亡したときと同様です。”


“先日夫が亡くなりました。私たち夫婦は日本在住ですが、夫は外国籍で、妻である私は日本国籍です。
財産は、全て日本にあります。この場合、日本の法律に従って、相続を行うのでしょうか?”

“「相続は、被相続人の本国法による。」と定められています。したがって、お亡くなりになったご主人様の国の法律にしがたって相続を行います。
ただし、ご主人様の国の法律が、日本で死亡した場合には日本の法律に従うとされていれば、日本の法律に従って相続する事もあり得ます。”

“【亡くなった人が外国籍である場合】
日本では、「相続は、被相続人の本国法による。」と定めた上で、「本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。」と定めています。つまり、外国籍の人が亡くなった場合は、その人の国の法律に従うとされており、その国の法律で『日本で亡くなった場合には日本の法律に従う』と定められている場合は、日本の法律に従うことになります。”


相続欠格者の子は、代襲相続人となりますか?

はい。代襲相続人となります。

“【相続欠格があった場合の法定相続人の人数について】
相続欠格者は人数に含まれませんが、欠格者の子が代襲相続人となる場合は、人数に含めます。つまり、相続人が死亡したときと同様です。”


私は5人兄弟の末っ子です。両親と一番上の兄は既に他界しており、先日二番目の兄が亡くなりました。二番目の兄は独身で子もいません。既に他界している長男には3人の子がいます。相続人は何人になりますが?

“6人です。
三男、四男、五男と長男の子3名”

“【兄弟姉妹の代襲相続】
被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合において、兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡している場合には、その兄弟姉妹の子(被相続人)である甥・姪が代襲相続人となります。
但し、兄弟姉妹の代襲相続は1代限りで認められ、甥・姪の子が再代襲することはできません。”


兄弟姉妹の子、つまり甥・姪は、代襲相続できますか?

代襲相続できます。

“【代襲相続人の範囲】
代襲相続できる者は被相続人の直系卑属(兄弟姉妹の場合は傍系卑属)に限られます。
※甥・姪の子供は代襲相続することはできません。兄弟姉妹の代襲相続は、その子までしか代襲相続ができないと規定されています。”


遺産分割協議を終えた後、相続人の1人が欠格となりました。この遺産分割協議には欠格となった相続人も加わっていましたが、この協議は有効なのでしょうか?

遺産分割協議は無効となります。相続開始後に欠格事由が生じた場合について、欠格の効果は、相続開始時に遡及すると考えられており、欠格者が加わってなされた遺産分割協議や審判分割等は、無効となります。

“【相続欠格の効果】
①相続の欠格事由に該当する場合、直ちに欠格の効果は発生し、その被相続人との関係で相続資格を失うことになる。
②欠格者は同時に遺贈を受けること(受遺者となること)もできなくなる。
③欠格の効果が発生するためには、他の相続人や受遺者などからの主張、あるいは裁判所での手続は不要である。法律上当然にその効果を生じるので、戸籍にも記載されない。
④欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で発生するにすぎず、欠格者であっても他の者の相続人となることはでき、欠格者の子は代襲相続人となれる。
⑤欠格の効果は、相続開始前に欠格事由が生じた場合は、その時に生じるが、相続開始後に欠格事由が生じた場合は相続開始時に遡及すると考えられている。
したがって、相続開始後に欠格事由が生じた場合には、欠格者が加わってなされた遺産分割協議及び審判分割が無効となったり、欠格者から相続財産を譲り受けた第三者について、欠格者との間の譲渡行為は無効となる。
⑥法定相続人の人数について、欠格者は人数に含まれないが、欠格者の子が代襲相続人となる場合は、人数に含める。つまり、相続人が死亡したときと同様である。”


父が亡くなり姉妹で相続します。姉は結婚したとき、婿養子をとり、義兄は両親と養子縁組をしていましたが、姉夫婦は既に離婚しています。義兄は相続人になりますか?

お姉さまと離婚していても、養子離縁届が受理されていなければ、義兄も相続人となります。

“【養子縁組の離縁(養子が15歳以上の場合)】
養子が15歳以上であれば、未成年・成年に関わりなく、当事者間で協議離縁等により、親子関係を解消できます。
婚姻を伴う養子縁組の場合、離婚と同時に離縁しておかなければ、後々の揉め事の原因となります。”


相続人の1人は認知された子ですが、既にその子は亡くなっています。その亡くなった子にも、認知した子がいます。その子は相続人となりますか?

認知された子の代襲相続人として相続人となります。

“【認知されたこの代襲相続権】
認知された子には「子」として相続権があるので、その子には代襲相続が認められます。”


“父が亡くなり私と養子である兄が相続人となりますが、養子である兄は既に他界しています。
兄には子がいますが、その子が代襲相続し、相続人となるのでしょうか?”

お兄さまの子が、養子縁組の前に生まれたのか、後に生まれたのかで代襲相続人となるかどうかが決まります。

“【養子の子の代襲相続権】
養子縁組後に子がある場合は、その子が代襲相続人となります。
養子縁組前にあった子は、代襲相続人となりません。”


“3年前の父の相続において、兄は欠格となりました。
先日母が亡くなりましたが、この相続においても兄は欠格としてよいのでしょうか?”

お父様の相続において欠格であっても、今回の相続も欠格になるわけでないので、お兄様も相続人となります。

“欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で発生するにすぎません。
欠格者であっても他の者の相続人となることはできます。
【相続欠格の効果】
①相続の欠格事由に該当する場合、直ちに欠格の効果は発生し、その被相続人との関係で相続資格を失うことになる。
②欠格者は同時に遺贈を受けること(受遺者となること)もできなくなる。
③欠格の効果が発生するためには、他の相続人や受遺者などからの主張、あるいは裁判所での手続は不要である。法律上当然にその効果を生じるので、戸籍にも記載されない。
④欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で発生するにすぎず、欠格者であっても他の者の相続人となることはでき、欠格者の子は代襲相続人となれる。
⑤欠格の効果は、相続開始前に欠格事由が生じた場合は、その時に生じるが、相続開始後に欠格事由が生じた場合は相続開始時に遡及すると考えられている。
したがって、相続開始後に欠格事由が生じた場合には、欠格者が加わってなされた遺産分割協議及び審判分割が無効となったり、欠格者から相続財産を譲り受けた第三者について、欠格者との間の譲渡行為は無効となる。
⑥法定相続人の人数について、欠格者は人数に含まれないが、欠格者の子が代襲相続人となる場合は、人数に含める。つまり、相続人が死亡したときと同様である。”


相続廃除は誰がどのようにするのでしょうか?

相続廃除は、被相続人が行います。被相続人が生前に家庭裁判所への申し立てる方法と、遺言による方法とがあります。

“【相続廃除の方法】
【廃除の手続】
廃除の方法は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言による方法との二つが認められています。
(1)生前の廃除申立
被相続人は、遺留分を有する推定相続人に廃除事由があると考えるときは、家庭裁判所に対して廃除請求ができます。
手続は審判または調停によっておこなわれます。
調停の場合において、当事者間に廃除の合意が成立していたとしても、家庭裁判所は直ちに廃除の成立を認めず、職権で廃除事由の存在を調査し、その存在が認められないときは、合意を不相当として調停不成立とし、審判手続に移行させ、裁判所自らが審判によって、廃除を否定することとなります。
廃除請求事件の係属中に被相続人が死亡して相続が開始したときは、家庭裁判所で遺産管理人を選任し、遺産管理人が廃除手続を受継することになります。
(2)遺言による廃除
被相続人は、遺言で推定相続人の廃除の意思を表示することができます。
この場合、遺言執行者は、相続が開始してその遺言が効力を生じた後、家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。
遺言による廃除を行おうとする場合、家庭裁判所での廃除手続を実行してくれる遺言執行者が必要です。よって、廃除を求める遺言書には、誰を遺言執行者にするのかも定めておく必要があります。
被相続人が遺言執行者を定めていない場合は、家庭裁判所で遺言執行者を選任することになります。”


一度廃除としたら取消されることはないのでしょうか?

被相続人によって廃除を取り消すことができます。

“【廃除の取消し】
被相続人は、いつでも廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます。また、遺言によって廃除の取消しをすることも可能です。”